ウッフィツィ美術館 Galleria degli Uffizi
世界で最も有名な美術館の一つであり、ルネッサンスの巨匠の作品が見られます。ボッティチェッリ、ダヴィンチ、ラッファエッロ、ミケランジェロらの傑作が勢揃いです。建物は16世紀にメディチ家のコシモ1世が行政事務局として建築家ヴァザーリに建てさせたもので、長い廊下の両側にはメディチ家の古代彫刻コレクションがずらりと並び、天井にはグロテスク様式の装飾がほどこされています。廊下の折り返し地点から見える景色も素晴らしいです。天気が良い日はテラスのバールでカフェや軽食をとって一息つけます。
パラティーナ美術館 Galleria Palatina
(ピッティ宮殿内 Palazzo Pitti)
メディチ家の絵画コレクションが大半を占めます。特にラッファエッロとティツィアーノのファンは必見です。さらにはフィリッポ・リッピ、ボッティチェッリ、カラヴァッジョ、ルーベンスらの作品も鑑賞できます。15世紀の裕福な商人ピッティの邸宅を16世紀にメディチ家が買い上げてさらに増築したというピッティ宮殿内にあり、館内のインテリアも迫力です。
アカデミア美術館 Galleria dell’Accademia
ミケランジェロのダヴィデ像に会えます。この大作の依頼を受けたミケランジェロはたったの26歳でした。このダヴィデ像を迎えるべく、19世紀に建てられたのがアカデミア美術館です。ダヴィデの手前のスペースではミケランジェロの奴隷像も鑑賞できます。イタリア語で「ノン・フィニート」と呼ばれる「未完の」奴隷たち、ミケランジェロの「のみの跡」も至近距離で見られるのがファンには要チェックです。
シニョリーア広場 Piazza della Signoria
中世フィレンツェ共和国時代の政治の中心地。ベッキオ宮殿が正面に見えます。その左側にあるのはメディチ家の威力を示すべく16世紀に造られたネプチューンの噴水(アンマンナーティ作)、とコシモ1世騎馬像(ジャンボローニャ作)です。ランツィのロッジャの右下にはジャンボローニャ作の「サビーニの女の略奪」、左下ではチェッリーニ作の「ペルセウス」が不気味なメドゥーサの首を持って立っています。
ヴェッキオ宮殿 Palazzo Vecchio
フィレンツェ共和国の政庁舎として13世紀終盤にアルノルフォ・ディ・カンビオが建築したもので、16世紀にはメディチ家の邸宅となりました。中庭の壁には当時のハプスブルグ家の領地が描かれていて、中央にはヴェッロッキオ作の「イルカを抱くプット」(レプリカ)をのせた噴水があります。入場するとコシモ1世が建築家ヴァザーリを起用し邸宅用に改造させた当時の様子が見られます。壁のフレスコ画や天井の装飾まで、すべてのモチーフがメディチ家の栄華を物語るデザインになっています。コシモ1世、妻エレオノーラ、長男フランチェスコ1世たちの「お宅拝見」ができます。
メディチ家礼拝堂 Cappelle Medicee
歴代トスカーナ大公家の墓所です。「君主の礼拝堂」はジョヴァンニ・デ・メディチの構想に基づき、マッテオ・ニジェッティが建築しました。天井以外のスペースが全て、大理石と半貴石で覆われています。「新聖具室」にもメディチ家のメンバーが葬られていて、ロレンツォ豪華王と、弟ジュリアーノのお墓もここにあります。空間、装飾、彫刻のすべての要素をミケランジェロが手がけました。彼の有名な彫像、「黄昏と曙」、「昼と夜」が見られるのもここです。
バルジェッロ博物館 Museo Nazionale del Bargello
13世紀中盤に建築された行政長官の館で、16世紀から司法長官(イタリア語でバルジェッロ)の役所兼邸宅となりました。現在はルネッサンスの彫刻の国立博物館です。3階まであり、1階の「ミケランジェロの間」では彼のバッカス、アポロ、ブルータス等が鑑賞できます。2階には、ドナテッロ作のダヴィデ、聖ジョルジョ、さらにはヴェッロッキオ(ダ・ヴィンチの師匠)作のブロンズ製の優雅なダヴィデ像、ルカ・デッラ・ロッビアの美しいレリーフも楽しめます。3階はヴェッロッキオの大理石製の「花を持つ女」像などがあります。
サン・マルコ美術館 Museo di San Marco
サン・マルコ広場にあり、左がサン・マルコ寺院で右が美術館です。15世紀の修道士、そして画家だったフラ・アンジェリコの作品が集められた美術館です。サン・マルコ修道院はメディチ家の老コシモの依頼で15世紀に改修されましたが、これが現在美術館になっています。かつての修道士たちの小さな個室をひとつずつ覗いて行くと、明るく、静かな色使いのフラ・アンジェリコの宗教画が見えます。
サンタ・クローチェ教会 Santa Croce
正面ファサードは19世紀の華やかな大理石装飾ですが、元々はフランチェスコ派が13世紀に建てたのが始まりです。教会内にはミケランジェロやガリレオ・ガリレイといった超大物たちのお墓があります。中央礼拝堂の右側にはジョットがフレスコ画で装飾した、バルディ礼拝堂とペルッツィ礼拝堂があります。教会付属美術館には13世紀、チマブーエ作の十字架像があり、1966年アルノ川の氾濫で起こったフィレンツェ大洪水の傷跡が見えます。(修復されたが表面の70%が破損している。)
サンタ・マリア・ノヴェッラ教会 Santa Maria Novella
ドメニコ派が13世紀に建てた教会。正面は未完だった中世の大理石装飾の続きを15世紀にレオン・バッティスタ・アルベルティが見事にルネッサンス様式で完成させました。中央礼拝堂のフレスコ画はギルランダイオの15世紀の作品で、当時彼の弟子だったミケランジェロが描いたという部分もあります。中央礼拝堂の左横のゴンディ礼拝堂にはブルネレスキ作の十字架像があります。左側廊にあるマザッチョの15世紀の作品、「三位一体」もお見逃しなく。
メディチ・リッカルディ宮殿 Palazzo Medici Riccardi
ドゥオモ前から北に伸びる通りにある重厚な石造りのお屋敷は、15世紀メディチ家の老コシモがミケロッツォに建築させました。 17 世紀、フェルディナンド2世の時代に銀行家リッカルディ家に売却されたため、メディチ・リッカルディ宮殿とよばれます。中庭はグラッフィーティという技法で装飾された壁に囲まれています。西側の中庭は小さなレモン園です。この宮殿での必見は「マギの礼拝堂」です。ベノッツォ・ゴッツォリが 15 世紀にフレスコ画で装飾した、玉手箱のような美しい空間です。
中世邸宅博物館 Palazzo Davanzati
フィレンツェの裕福な商人兼銀行家であったダヴィッツィ家の邸宅です。一家は所有していたいくつかの塔を14世紀に統合して一つの館にしました。その後16世紀にここに住んだ家族の苗字からダヴァンツァーティ宮殿とよばれています。外壁についている立派な家紋もこの一家のものです。20世紀に国が買い取り、中世の邸宅の様子が窺える博物館となりました。プライベートの井戸、大きな暖炉、大広間、キッチン、寝室、装飾された壁や天井、さらには当時のトイレまでが見られます。
ブランカッチ礼拝堂 Cappella Brancacci
アルノ川の南側ゾーンにあるサンタ・マリア・デル・カルミネ教会の右が入り口です。15世紀、フェリーチェ・ディ・ミケーレ・ブランカッチが礼拝堂の壁画装飾を依頼し、マゾリーノとその弟子マザッチョがフレスコ画で、「聖ペテロの生涯」を描きました。「貢の銭」のシーンに登場するペトロをミケランジェロが模写した話は有名です。
新市場のロッジャ Mercato Nuovo
16世紀の建築家、ジョヴァンニ・バッティスタ・デル・タッソが手がけました。近くのレプブリカ広場にかつてあった市場「旧市場」の後にできたので「新市場」という名がつきました。フィレンツェっ子達が「豚ちゃん」と呼ぶブロンズ製のイノシシ像があります。17世紀、メディチ家のコシモII世の命により、ピエトロ・タッカが作りました。当時は皮なめし等に使うための噴水として生まれました。今では豚ちゃんの頭をなでたり、写真を撮るツーリスト達でいつもにぎわっています。
ドゥオモ(花の聖母教会)
Duomo (Santa Maria del Fiore)
白、緑、ピンクの大理石で覆われた立派かつ華やかなドゥオモは「花の聖母教会」と名付けられ、7世紀以上経った今もフィレンツェっ子たちの誇りです。1296年、羊毛業で栄えたフィレンツェ共和国時代に着工されました。初代建築家はアルノルフォ・ディ・カンビオ、1436年に円蓋を完成させたのはブルネッレスキでした。未完だったファサードは19世紀にエミリオ・デ・ファブリスが設計しました。内部は厳格なフィレンツェゴシック様式です。16世紀にヴァザーリが描いた壮大な「最後の審判」は中央祭壇の真上です。
クーポラ Cupola
15世紀にブルネッレスキが手がけた傑作です。巨大な丸屋根(クーポラ)は重量を分割するため2重構造になっていて、その間のスペースには階段が設けられました。頂上で金色に光る球形はアンドレア・デル・ヴェッロッキオ作で、弟子であったレオナルド・ダ・ヴィンチも制作に携わったと思われます。クーポラは階段で登れます(要予約)。463段でエレベーターはありません。。上まで行くと言うまでもなく絶景です。フィレンツェの中心地のみならず、周辺の丘陵も見渡せます。
ジョットの鐘楼 Campanile di Giotto
画家でもあったジョットが1334年に建築を始め、次にアンドレア・ピサーノ、最後にフランチェスコ・タレンティが担当し、1359年に完成しました。外壁は白、緑、ピンクの大理石で覆われていて、上方のゴシック窓が軽やかです。高さ85m、階段は414段で、これもエレベーターは無し。フィレンツェの中心地が一望できます。
サン・ジョヴァンニ洗礼堂 Battistero di San Giovanni
この洗礼堂がほぼ現在の姿になったのは11~13世紀でした。フィレンツェの守護聖人でもある聖ヨハネ(イタリア語ではサン・ジョヴァンニ)の名がついています。8角形の建築で、南、北、東にそれぞれ扉があります。南は14世紀、「洗礼者ヨハネの生涯」を表すアンドレア・ピサーノの扉で、北は15世紀、「新約聖書」を表すロレンツォ・ギベルティの扉、そして東側は「天国の扉」です。外壁は白、緑の大理石で幾何学的、シンプルな装飾です。中に入ると天井の13世紀のきらびやかなビザンチン風モザイクが見られます。
天国の扉 Porta del Paradiso
サン・ジョヴァンニ洗礼堂の3つある扉のうちの一つで、ドゥオモに面しています。ロレンツォ・ギベルティの15世紀の傑作ですが、こちらはレプリカです。10枚のパネルは旧約聖書の内容を浮き彫りにしたもので、ブロンズ製、そして金塗りです。オリジナルの扉は1966年の大洪水で破損したのち、修復され、現在はドゥオモ付属美術館にあります。
ドゥオモ付属美術館 Museo dell’Opera del Duomo
ドゥオモの14世紀のファサードができる限り忠実に再現され館内にそびえたっています。さらに鐘楼外壁を飾ったオリジナルの彫刻群が見られます。アルノルフォ・ディ・カンビオ、ドナテッロ、ルカ・デッラ・ロッビア等々の作品が一堂に集まっています。サン・ジョヴァンニ洗礼堂の天国の扉も本物はここにあります。レプリカも立派ですが、本物はやはり品格が違います!最上階からクーポラが見えるテラスに出られます。そして時間がない人もミケランジェロのピエタ像はお見逃しなく。
サン・ロレンツォ教会 San Lorenzo
15世紀にメディチ家がすでにここにあった教会を大幅に増改築したもの。ファサードは未完成で見栄えがしませんが、これも歴史的には意味があります。教会内部は建築家ブルネッレスキらしい整然とした空間になっています。ドナテッロの説教壇、アンドレア・デル・ヴェッロッキオがメディチ家のために作った石棺、ブルネッレスキ設計の旧聖具室などがあります。メディチ家の老コシモの墓は中央祭壇の真下です。なるほど。
サント・スピリト教会 Santo Spirito
アルノ川南側ゾーンにあります。15世紀にブルネッレスキが設計し、彼の死後はアントニオ・マネッティが建築を引き継ぎました。内部には38もの礼拝堂があり、右翼廊にはフィリッピーノ・リッピ作の「聖母子と聖ジョヴァンニーノ」もあります。ジュリアーノ・ダ・サン・ガッロ聖具室にはなんと、ミケランジェロが18歳くらいの時に彫ったといわれる十字架像があります。
ヴェッキオ橋 Ponte Vecchio
アルノ川にかかり、街の南側と北側を結ぶ橋です。イタリア語ではPONTE(橋) VECCHIO(古い)と呼ばれる14世紀の橋です。両側には主に貴金属を扱うお店がぎっしり並び、川が見えませんが、橋の中ほどまで行くと見晴らしの良いスポットがあり、アルノ川、ウッフィツィ美術館なども見えます。橋の上、東側のお店の並びの上を通るのは16世紀にメディチ家が建築家ヴァザーリに作らせた「ヴァザーリの回廊」です。
中央市場 Mercato Centrale
ミラノのヴィットリオ・エマヌエーレ2世のアーケードも手掛けたジュゼッペ・メンゴーニによる19世紀の建築です。1階は肉、チーズ、パン、スパイスなどのお店がずらり。フィレンツェ名物のトリッパやランプレドット(ともにウシの胃)などの食材も売られています。2階は大きなフードコートで、イタリアンから寿司、中華とヴァリエーションも豊富。ショーケースから選んだものを買って、近くの席で食べられます。
トルナブオーニ通り Via de’Tornabuoni
フィレンツェの名家の名がついたエレガントな通りです。ルネッサンス期の立派な館が立ち並び、現在は数々の有名ブランドのブティックになっています。アルノ川の手前にある13世紀終盤のスピーニ・フェローニ宮殿にはフェラガモのショップとミュージアムがあります。
ストロッツィ宮殿 Palazzo Strozzi
15世紀の豪商フィリッポ・ストロッツィが建てた館で、16世紀前半に完成しました。ルネッサンス期を代表する建築物の一つです。三日月をつかったストロッツィ家の紋章も窓の上に見えます。中庭は自由に入れ、時には現代アーティストの巨大な立体作品が見られる場所でもあり、カフェもあります。2階では期間限定の大型展覧会が行われます。
レプブリカ広場 Piazza della Repubblica
旧市街のほぼ中心に位置する7500㎡もある広場。広場の西側にある大きなアーチは19世紀に建築されました。広場にはGIUBBE ROSSE、PASZKOWSKI、GILLIなどの老舗のバールがあります。フィレンツェっ子たちはカウンターでエスプレッソを立ち飲みします。時間のある人はゆっくりとテーブル席で。でもテーブルチャージがかかるのをお忘れなく。
ピッティ宮殿 Palazzo Pitti
アルノ川左岸にある宮殿です。15世紀の富裕な商人ピッティの館を16世紀にメディチ家が買い上げ、さらに増築しました。18~19世紀はハプスブルク家、その後サヴォイア家が増築を続けたという歴史があります。現在パラティーナ美術館を含む4つのミュージアムを収容し、館の南側には 45000㎡ の広大なボーボリ庭園もあります。
ミケランジェロ広場 Piazzale Michelangelo
フィレンツェ旧市街が一望できる絶景の高台にある広場。フィレンツェの生んだ巨匠ミケランジェロに捧げられこの名前が付きました。広場中央に立っているのはミケランジェロのダヴィデ像のレプリカです。様々なイヴェントやコンサート会場にも使われる広場です。
サン・ミニアート・アル・モンテ San Miniato al Monte
ミケランジェロ広場からもう少し丘の上のほうに行くと中世の美しい教会があります。ファサードは白と緑の大理石で装飾されています。内壁には13世紀から15世紀のフレスコ画が左右にあり、正面にはメディチ家が(ミケロッツォ、あるいはレオン・バッティスタ・アルベルティに)作らせた「十字架の礼拝堂」があります。天井には「玉座のキリスト、マリア、聖ミニアート」を表した13世紀の見事なモザイクがあります。
チェルトーザ・デル・ガッルッツォ修道院 Certosa del Galluzzo
フィレンツェを出て、南10kmほどのところにあるガッルッツォという小さな町の丘の上にあるこの修道院は1341年にフィレンツェの銀行家ニッコロ・アッチャイオーリの財により建築されました。修道士たちの個室が今も残っていて、この中で修道士たちは、俗の世界との関係を断って暮らしていました。16世紀のペストの際、ここに避難していた画家ポントルモの作品も鑑賞できます。見学が終わったら、修道院のリキュールや、ハチミツなどのお土産ショッピングも楽しめます。
スティベルト美術館 Museo Stibbert
中心地から3kmほど。19世紀のジュセッペ・ポッジも建築に携わった豪邸。富裕なイギリス人家系のフレデリック・スティベルトが遺言でフィレンツェに寄贈しました。彼の遺した豪邸内で彼が生涯を通して収集した膨大な量の品々が展示されています。絵画、家具、陶器などの他、この美術館の見どころは甲冑コレクションの充実ぶりです。ヨーロッパ、中東、そして日本!さらにはメディチ家コシモ1世の軍人だった父の甲冑も展示されています。最後に広いお庭で一息つくこともできます。